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頭痛・脳の症状

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頭痛

頭痛の種類と症状

頭痛には片頭痛などの機能性頭痛と頭蓋内病変が原因の症候性頭痛があります。症候性頭痛は放っておくと命にかかわることもあり、大変危険です。危険な頭痛の特徴として、次にあげたものがあります。
このような頭痛が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
 

・今までに経験したことがない頭痛(普段と違う頭痛)

・今までの中で最も症状が重い頭痛

・突然に起こった頭痛(突発完成型)

・進行性、徐々に悪化あるいは持続的な頭痛

・早朝に起こる頭痛(目覚まし型)

・意識が冒されたり、精神症状を伴う頭痛

・麻痺・痺れを伴う頭痛

・言葉がしゃべりにくい、ろれつが回らない等の症状を伴う頭痛

・視力が弱くなる、または物が二重に見える頭痛

・いきんだり、頭を振るとひどくなる頭痛

・てんかんを伴う頭痛

・発熱、発疹を伴う頭痛

・高齢者の初発頭痛

頭痛をそのままにしておくと危険

片頭痛患者は約一千万人以上いると言われていますが、「忙しいから」「しばらく我慢すると治る」といった理由で、約3割の方しか受診しません。
また、受診してもその59%が完治せずに脱落します。脱落した患者さんの半数は正しく診断されていないケースも見られます。

これまでの頭痛患者さんは、勇気を振り絞って受診しても、正しく診断されない、適切な治療が行われない、検査でなんでもないと言われた、などの理由で病院に行かなくなります。
しっかり話を聞いて治療してくれる病院が少なかったのです。
しかし、頭痛外来の古典的な使命は危険な頭痛を診断し、治療することです。

最も怖いのは、命にかかわるくも膜下出血などの頭痛です。CTやMRI(磁気共鳴画像装置)検査で、その有無を確認する必要があります。
しかし、検査で異常が見つからないと、”それでおしまい”ということが多く、片頭痛などはその症状が改善されることがなかったため、患者さんは満足していなかったという状況がありました。

しかし、この10年間で片頭痛の予防薬や発作の治療薬が登場し、治療の選択肢が増えました。生活に支障がない程度に改善させるという目標も、達成可能になっています。
片頭痛は治療が必要な病気です。
市販薬を数回飲んでも改善しないような場合は、医療機関を受診して下さい。
当院の頭痛外来では、様々な頭痛に対して専門的な治療を行っています。

頭痛外来では、脳神経外科専門医で日本頭痛学会に所属している医師が直接お話を伺い、疑われる頭痛に対して必要な検査をそれぞれの患者さんに合わせて行います。CT、MRI検査、頸椎などのレントゲン検査、生活習慣病の関わりが考えられる場合は、採血などを行います。
全ての検査は予約の必要がなく、その日のうちに結果をお伝えし(採血検査は数日を要します)、必要な治療などのご相談を行います。頭痛でお悩みの方は、お気軽に受診ください。

日本人の40%は頭痛もち

「頭が痛い」ことが多いこの世の中、今まで頭痛を経験したことがない人はいないでしょう。最近の調査では、頭痛もちの人は15歳以上の日本人の約40%という結果が出ています。

頭痛には、大きく分けて「急性頭痛」「慢性頭痛」「その他の頭痛」の3つがあります。
慢性頭痛には、「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」があります。

では、頭痛はどうして起こるのでしょうか?

頭痛は、主に頭の血管と肩や首、後頭部の筋肉の問題で起こります。緊張型頭痛は主に肩や首、後頭部の筋肉や神経の緊張が原因と考えられています。片頭痛は頭の血管のまわりにある三叉神経が刺激され、いろいろな物質が出てきて血管を拡げ、頭痛を引き起こしていると考えられています。群発頭痛は、頭の血管の拡張が原因です。

頭痛治療の注意点

頭痛がひどいから、市販薬でごまかす方が多いようです。
でも、その市販薬を飲み続けていれば、頭痛は治るのでしょうか?

市販薬の鎮痛薬を多用することは、危険です。
飲みすぎると「薬剤誘発性頭痛」という、薬が切れたことにより起こる頭痛になってしまう可能性があります。
それを避けるためには、市販鎮痛薬の使用は週2回までと制限する、そして、配合のシンプルなものを選ぶことが重要です。
それ以上の分量を飲まなければならないような頭痛は、頭痛外来を受診することをおすすめします。なぜなら、そのような頭痛は、危険な頭痛である可能性が高いからです。
鎮痛薬の服用は、頭痛を完全に治すというわけではなく、一時的に痛みを和らげる「対処療法」でしかないのです。原因をつきとめて治すことが、頭痛から早く解放されるための一歩です。

薬剤誘発性頭痛について

薬剤誘発性頭痛とは

片頭痛と緊張型頭痛が混在している場合、片頭痛の痛みを恐れて鎮痛薬を連用すると、ズキズキ頭痛と頭重感の絶え間がなくなり、毎日頭痛がする状態となります。
具体的には、エルゴタミン製剤や鎮痛剤などを過剰に連用することにより、かえって頭痛が悪化することがあります。
このように薬の乱用により起こる頭痛を、薬剤誘発性頭痛といいます。頓服薬は月10回までが安全圏で、それ以上の服用がいる場合は予防薬の適応です。
痛みがひどくてもむやみに鎮痛剤を連用するのは避けなければいけません。

専門医を受診し、症候性頭痛を除外し、正しい診断、治療することが重要です。
治療は原因薬剤の中止と中止後に起こる頭痛への対処、予防薬の投与、患者教育などを行います。頭痛もちの人は、頭痛一般の知識をもち、普段から自分の頭痛の状態を正しく把握することが大切です。

そのために、まずは一度、専門医を受診することをお勧めします。
受診すると、まず頭痛のタイプを診断してもらえます。自分の頭痛について診断してもらうと、頭痛についての知識が得られ、安心感につながります。

頭痛はそのタイプによって、治療法が異なりますから、頭痛のタイプを正確に診断してもらうことは重要です。
正確な診断がなされて、初めて、適切な治療を行うことが可能になります。

自己判断で合わない薬を飲み続けると、頭痛を悪化させてしまうことがあります。
鎮痛薬の飲みすぎによる薬剤誘発性頭痛を引き起こさないためにも、受診をして医師の指示に従って薬を服用することが大切です。

めまい

めまい

めまいの種類と症状

めまいは、周囲の景色がグルグル回る『回転性めまい』、体がフワフワふらつく『浮動性めまい』および『立ちくらみのようなめまい』の3種類に大きく分類されます。

回転性めまいのうちで難聴、耳鳴りおよび耳閉感を伴うものの多くは、耳の異常が原因で起こります。まれに脳の異常でも、平衡機能をつかさどる小脳やその近くの脳幹で血管が詰まったり、出血したり、腫瘍ができたりして、回転性のめまいが引き起こされる場合があります。
特に、脳の後方へとつながる動脈の血流が悪くなった場合、脳に十分な血液が運ばれず「椎骨脳底動脈循環不全症」という状態になります。

浮動性めまいは、フワフワ揺れる感じと同時に運動麻痺、しびれなどの神経に関係する症状を伴うことがあり、脳梗塞などの、脳の病気で起こる代表的な症状です。

一方、立ちくらみのようなめまいは、急に目の前が暗くなり、ひどい場合には失神を伴うこともありますが、血圧の変動に関係する全身性の病気が原因として考えられます。
一口にめまいといってもその原因は様々で、背景に脳疾患が潜んでいることも稀ではなく、MRIを始めとする精密検査が必要です。

回転性めまい

周囲がグルグル回るような感覚、もしくは自分自身が回る感覚がするめまいをいいます。
物が左右や上下に流れるように感じることもあります。
平衡器官に急激な変化(血流障害、炎症、内耳のむくみなど)が起きたときに生じます。耳の異常が要因の場合、脳の異常が要因の場合があります。頭痛の強いときは脳の出血の可能性もあります。

代表的な病気:

・椎骨脳底動脈循環不全(高血圧症や動脈硬化症を背景とする)

・小脳や脳幹の出血(突然、起こる頭痛とめまい)

・良性発作性頭位性めまい(耳石がはがれ、三半規管のなかで浮遊し起きる)

・メニエール病(耳鳴りや難聴を伴い、発作を繰り返す:リンパ浮腫)

・突発性難聴(急に聞こえが極端に悪くなる)

・前庭神経炎(激しいめまいが起こり、その後もふらつきが続いている)

・中耳炎によるめまい(昔から中耳炎があり、耳だれが時々でる)

めまいの予防

めまいによる事故を予防するためには、日常生活の中でのちょっとした注意が必要です。
特にご高齢の方は、下記のような点に注意して日々を過ごされることをお勧めします。
 

・階段を降りるときにはよく注意しましょう。

・歩行時に、安定感のない人は杖を使いましょう。

・毎日歩くことを心掛けましょう。

・脳梗塞、心臓病、高血圧、糖尿病などの病気にある人は、病気をコントロールしてくれるかかりつけ医を持ちましょう。

・起床時間を一定にして規則正しい睡眠習慣を維持しましょう。

・いろいろな不安は抱え込まずに家族、友人、医師などに相談しましょう。

・睡眠薬、抗不安剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤などを内服している人は、薬の副作用に注意しましょう。

動揺性・浮動性めまい

からだがフワフワする感覚があり、身体が宙に浮いたような、もしくは船に乗っているような、あるいは雲の上や絨毯の上を歩いているような感じがします。
頭や身体がぐらぐら揺れている感じや、フラフラする感覚としてあらわれる場合もあります。フラフラして、まっすぐに歩けないときには、小脳の異常を鑑別する必要があります。

代表的な病気:

・隠れ脳梗塞

・脳動脈硬化症

・心因性めまい

・聴神経腫瘍(いつとはなしに片側の聞こえが悪く、歩くとフラフラする)

・薬物によるめまい

・上記の回転性めまいを起こす病気の慢性期

立ちあがった瞬間にクラクラッとしたり、長く立っていると目の前が暗くなる感覚になるめまいです。気が遠くなると感じることもあります。
子どもには、時々起立性調節障害という形でみられます。
(例:朝礼などで倒れる)

代表的な病気:

・起立性低血圧症(失神あるいは失神前状態を含む)

高齢者のめまい

高齢者のめまいは、加齢による平衡機能の低下、脳動脈硬化による脳血流や脳酸素消費量の低下、自律神経障害を背景とします。さらに、生活習慣病が加わったり、健康についての不安や睡眠不足が加わるとめまいが起こりやすくなります。薬剤を服用している場合も多いので、現在、内服中の薬を確認することも必要です。
めまいを起こした高齢の方の脳を、MRI検査してみると、無症候性脳梗塞(かくれ脳梗塞:症状はないものの画像上小さな血管のふさがりが認められる)が見つかることもあります。失神が起こっていることもあり、椎骨脳底動脈循環不全、不整脈、起立性低血圧などが鑑別として重要です。

頭部外傷・打撲

頭部外傷・打撲

頭部外傷の注意点と対処法

長寿社会を迎えて転倒転落事故が多くなっています。
それに伴って、高齢者が頭部を打撲する危険が増えています。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、軽微な頭部外傷を原因として、およそ2週間から1~3カ月たって硬膜下腔、すなわち頭蓋骨の内側にある硬膜という厚い膜と、脳を包むクモ膜という薄い膜の間に血液が貯留する病気です。
男性高齢者に比較的多くみられ、外傷以外の誘因としてアルコール多飲者に多いことが知られています。そのほか、脳に萎縮がある場合、出血傾向がある場合、脳梗塞の予防の薬(抗凝固剤)を飲んでいる場合、水頭症に対する短絡術などの術後、透析、ガンが硬膜に転移している場合なども、慢性硬膜下血腫になりやすいことも知られています。

いったん硬膜下腔に出血した血液は、吸収されにくい上に被膜を形成します。
この血腫は吸収されないためゆっくりと増大し、知能障害、意識障害、頭痛、吐き気、片まひ、失語など様々な症状が出現し、放置すると死亡することすらあります。

そこで高齢者が頭部を打撲した後に頭痛や認知症、あるいは脳卒中に類する症状を来たした場合には、MRIやCTなどの検査をして、できるだけ早く診断することが大切です。
診断が確定すれば、早期に外科的処置を行い、血腫を除去し、脳の構造を正常に復元することが肝要です。
治療は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術と呼ばれ、比較的短時間の手術で血腫内容を除去することができます。
予後は良好で、適正な時期に外科的処置ができれば多くの場合元通りの社会生活が可能です。

頭部外傷後の注意点

頭を打ったときに心掛けておくべき点についてお伝えします。
頭蓋骨(頭の骨)の内側に出血が起こると、生命に危険をおよぼすことがあります。
その症状は、頭部打撲後すぐ起こることも、数時間、1~2日たってから起こることもあります。
外傷直後に何も症状が無くても、十分注意しなければなりません。
頭部外傷後は、少なくとも24時間は安静にして、次に挙げるような症状があれば、至急脳神経外科の病院にご相談ください。
 

・頭痛が段々と強くなる

・嘔気、嘔吐を繰り返す

・意識の状態に変化がある:ぼんやりしてくる、放っておくとすぐ眠ってしまう

・視力(物を見る力)が弱くなる、あるいは物が2重に見えたりする

・口がもつれてきたり、手足が動きにくくなったり、しびれたりする

・けいれん(ひきつけ)を起こす


一般に数日間、異常が無ければ、心配はありません。ただし、外傷後数週してから少しずつ頭の中に血が溜まり、症状が表れることもあるので注意してください。

尿崩症

尿崩症

1日に3000mL以上も排尿を認める尿崩症という病気があり、これは中枢性、腎性、心因性と大きく3つに分類できます。

中枢性尿崩症は抗利尿ホルモンの合成・分泌障害によるもので、その原因として特発性、遺伝性、続発性(脳腫瘍、外傷、髄膜炎など)のものがあります。

腎性尿崩症は腎臓が抗利尿ホルモンに反応しなくなることで起こります。原因には先天性、慢性腎不全、低K血症、高Ca血症、薬剤性(躁病治療薬のリーマスやRA治療薬のカルフェニールなど)、鎌状赤血球貧血、栄養障害、妊娠などがあります。

心因性尿崩症は心に問題があって大量の水を飲む結果、多尿になる病気で心因性多飲症とも言えます。

これらの鑑別には、尿量や電解質の他、水制限試験とピトレシン(抗利尿ホルモン)負荷試験が有効です。水分の摂取を制限すると、中枢性や腎性では尿が濃縮されることはありませんが、心因性では尿が濃縮されます。ピトレシン試験を行うと、中枢性や心因性では、抗利尿ホルモンに反応しますが、腎性ではあまり反応しません。

通常脳外科では視床下部-脳下垂体病変と関連した中枢性尿崩症を見る事が多いですが、原因がはっきりしない場合にはこれらを考える必要があります。

手足の症状

手足の症状

手足に力が入らない

手足に力が入らない

手足の力が抜ける、ふらふらする、転びやすい、しゃべりにくい、目がかすむなどの
症状がある方は、内頸動脈狭窄症の疑いがあるため、注意が必要です。

脳の血管が急に詰まる病気が脳梗塞ですが、頸動脈が少しずつ細くなって狭窄し脳梗塞に至る場合があります。

これらの症状は前兆ですので、
該当する症状があれば専門医を受診することをお勧めします。

近年、食習慣の欧米化が進むと共に、頸動脈狭窄病変が増えています。
最近では、頸動脈超音波検査やMRIの進歩により手軽に、また体を傷つけることなく、
この病変を見つけることができます。

頸動脈の直径が4割以下になっていると無症状なのですが、
内服治療している場合でも、次の5年間で11%の割合で脳梗塞が発生する可能性があります。
さらに、何らかの症状があって頸動脈の直径が3割以下になっている場合は、
次の2年間で脳梗塞に移行する割合は26%あると考えられています。

治療法としては、観血的手術である内頚動脈血栓内膜剥離(CEA)と
血管内手術(ステント留置術)とがあります。

手足の痙攣・しびれ

手足の痙攣・しびれ

手足の痙攣やしびれの症状がある場合は、脳卒中につながる恐れがあります。

何も前触れもなく突然手足の麻痺が起こる、喋りにくくなるなどの症状が現れることを脳卒中発作といいます。
中でも、脳血管が様々な原因で詰まり、脳細胞に影響を与えて、症状を起こることを虚血性脳卒中(脳梗塞)と呼びます。

今回は、2005年に認可された、脳卒中の新しい治療法を紹介します。

2005年10月より、虚血性脳卒中に対する新しい治療法が認可されました。
t-PA(Tissue Plasminogen Activator)という薬剤を静脈注射する治療です。脳卒中発作を発症後、4.5時間以内にこの薬を使用することで、脳血管に詰まった血栓が融解し、血流が再開、壊死に陥りかけていた脳細胞が蘇生します。

脳細胞は、他の臓器を構成する細胞より大変繊細なため、血流途絶などの侵襲に対して脆弱です。
脳梗塞を治療するにあたっては、ゴールデンタイムとでも言うべき治療効果の大変高い時間帯があります。しかるべき時にしかるべき治療をすることが重要なのです。

この治療の優れている点は、患者様が到着し、頭部CTスキャンでの診断がつけば、その後すぐに救急室においてでも使用が可能であるという点です。
治療開始までの時間が短時間であることが、脳神経細胞の蘇生に非常に有効なのです。
また、この治療法は、閉塞血管再開通が高率であることが確認されています。

一方で、この薬剤は使用に特別な注意が必要なため、使用できる施設が限られています。
脳卒中の専門医がおり、かつ脳神経外科手術に対応できる施設のみ使用可能となっています。

このt-PA静脈注射は過去10年間に亘って、世界の様々な国でいくつかの大規模臨床試験が行われ、脳血管の高い再開通率と治療効果が確かめられてきた治療です。
今までの当院での使用経験でも、脳血流再開の割合はかなり高く治療効果も上がっていることが確認されています。

【脳卒中予防の十箇条】

脳卒中は予防に勝る治療はありません。
今回は日本脳卒中協会が作成した、脳卒中予防十箇条をご紹介します。
 

1.手始めに 高血圧から 治しましょう

脳卒中が血圧の高い人に起こりやすいことはよく知られています。
高血圧になると、脳の血管に強い圧力がかかるため、脳の血管が詰まったり、破れたりする危険性が高くなります。そのため、高血圧は脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のいずれにも深く関係しています。血圧が高い人は、医師の指導に従って血圧の管理を心掛けましょう。
 

2.糖尿病 放っておいたら 悔い残る

糖尿病を放っておくと、長期にわたる高血糖状態により全身の血管がもろくなり、様々な合併症を引き起こします。
脳の血管も例外ではなく、糖尿病の人は糖尿病でない人の2~4倍も高い頻度で脳梗塞になるといわれています。
糖尿病を指摘されたら、医師の診察を受け、正常な血糖値を維持するように努めましょう。
 

3.不整脈 見つかり次第 すぐ受診

規則正しく動いているはずの心臓に何らかの障害があり、脈のリズムが乱れることを不整脈といいます。とくに心房細動は、左心房が痙攣するように収縮するため、血液がスムーズに流れずにうっ滞して、血栓ができやすくなります。
この血管が脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞になります。心房細動はとくに高齢者に多い不整脈。脈のリズムが不規則だと感じたら、すぐに病院を受診しましょう。
 

4.予防には タバコを止める意思を持て

タバコは「百害あって一利なし」。喫煙をすることによって、ガンや心臓病など様々な病気にかかるリスクが高くなります。
脳卒中についても例外ではありません。
喫煙により血液は濃くなり、血圧も上昇して動脈硬化が進み、脳卒中を起こしやすくなります。
禁煙により脳梗塞のリスクは、二分の一~三分の一に減少します。
 

5.アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒

適度にアルコールを飲む人は、まったく飲まない人よりも、脳卒中になる危険がやや少ないといわれます。ただ、適量を過ぎれば逆に体に毒となり、脳卒中になる危険性も高まります。適量を守って、大量の飲酒を避けましょう。

適量の目安(1日):
ビール500ml、日本酒1合(180ml)、焼酎0.5合(90ml)、
ウイスキーダブル1杯(60ml)、ワイングラス2杯(240ml)
 

6.高すぎる コレステロールも 見逃すな

血中のコレステロールのうちLDL(悪玉)コレステロールが増えると、動脈硬化が進みやすくなります。
一方、HDL(善玉)コレステロールは血管についたLDLコレステロールを除去して動脈硬化が進まないように働きます。
動脈硬化、ひいては脳卒中を防ぐためには、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことが必要です。
高脂血症を指摘されたら、 放置しないですぐに治療を始めましょう。
 

7.食事の 塩分・脂肪 控えめに

脳卒中を防ぐには、食事の内容にも注意を払う必要があります。
とくに塩分、脂肪分の多い食事は、高血圧、高脂血症などの病気を引き起こし、脳卒中のリスクを高める結果になります。

食塩の一日摂取量:
健康な人10g未満 / 高血圧のひとは6g未満
 

8.体力に 合った運動 続けよう

運動は、脂肪や糖質の代謝を促進するだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果もあります。
肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症など生活習慣病の予防や改善に役立ち、ひいては脳卒中の予防にもつながります。

一日あたりの運動:
一日30分以上、できれば60分(8000~1万歩)。
息がはずむ程度のスピードで、歩くことから始めましょう。

週一回の運動:
速歩、自転車で60分。ダンスで55分。水泳、エアロビクスで40分。
ジョギング、テニスで35分。
 

9.万病の 引き金になる 太りすぎ

高血圧や糖尿病、高脂血症など、さまざまな生活習慣病の原因となる肥満。肥満の解消は、脳卒中の予防にも欠かせません。
太り気味の人は食生活や運動不足を見直して、減量を目指しましょう。

BMI=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)
肥満の判定基準:BMI25以上
※理想的な数値は22といわれています。
 

10.脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

脳卒中による命の危険を防ぎ、後遺症を軽くするには、早めの治療が第一です。
もし、ご自身や周りの人に以下の状態がみられたら、一刻も早く専門医を受診して下さい。

意識がない 呼びかけても答えない
頭がハンマーで殴られたように痛い
急に手足が動かなくなった、しびれが起こった(特に半身)
急に片方の目が見えなくなる、見える範囲が狭くなった
急にろれつが回らなくなった
急に話せなくなった、言葉が理解できなくなった
突然のめまい、力はあるのにバランスがとれずに立てない、歩けない、手足がうまく動かせない
全身のけいれん

ふらつき・歩行障害

ふらつき・歩行障害

年齢が進むと共に、足もとがふらついたり、足が前にでなくてうまく歩けないといったことがあります。
はっきりした理由もなく、うまく歩けなくなり、認知症や尿失禁といった症状を伴ってくる場合は、突発正常圧水頭症の可能性があります。

この病気は、適切な診断と治療によって歩行の障害や認知症状の改善を得ることができます。
その結果、介護の負担が軽減され、患者様とご家族の生活の質が向上します。
三徴候と呼ばれる歩行障害・認知症・尿失禁の症状があり、画像診断にて脳室の拡大が認められると、髄液排除試験を行います。

腰椎(腰骨)の間から過剰にたまっている脳脊髄液を少量排除して症状の改善具合を観察します。
検査前の症状の程度と比べて、検査後の症状が一時的に改善すれば、髄液の流れを良くする手術(髄液シャント術)が有効であることが予想できます。
髄液シャント術による三徴候の改善率は、歩行障害9割、認知症症状7割、尿失禁7割です。

足の腫れ・むくみ

足の腫れ・むくみ

腫れの症状がひどい方

むくみの症状がひどい方は、下肢深部静脈血栓症の疑いがあります。
以前、90歳の男性が、右下腿の腫れを訴えて来院しました。
膝関節疾患があるために、ほとんど歩くことなく、車いす移動で生活している方でした。
腫れの原因は、下肢深部静脈血栓症でした。
長時間、下肢を動かさないままでいると、静脈血還流が緩流になり、血栓が形成されることがあります。

下肢深部静脈血栓症になる原因として、よく知られているのは、
 

(イ)手術を受けて体を動かせずに臥床していとき

(ロ)地震などの災害に遭って、避難所や自動車などで窮屈な生活を強いられているとき

(ハ)海外旅行で飛行機の座席に長時間座っているとき


等ですが、このような特別な場合に限らず、普段の日常生活でもしばしば起こっているようです。じっとしゃがみ込んで草むしりをするというのも避けなければなりません。

この血栓症は足を定期的に動かしてうっ血を改善することで予防できます。
長時間作業をする際は、意識して30分ごとに1分間ぐらい脚関節の屈伸や足踏み、つま先立ちなどを行うようにしましょう。

足のむくみ

歩く動作が少なくて、立ち仕事をしている方は、夕方になると足がむくんで靴がきつくなってきます。一晩寝て、翌朝、むくみが消退していれば問題ないでしょう。
ずっと続いているようですと、病的状態と考えられます。

むくみの原因は様々で、おのおの治療法が異なりますので、むくみ以外の兆候を確かめながら診断をすることが必要になります。

むくみの原因として考えられるものを列挙しますと、
 

① 下肢深部静脈弁逆流

② 下肢静脈閉塞

③ 心臓病(心不全)

④ 腎不全(低アルブミン血症)

⑤ 肝硬変

⑥ 甲状腺機能低下症

⑦ リンパ還流障害(骨盤腔のがんの手術や膝関節の手術後)

⑧ 薬の副作用(消炎鎮痛薬、ホルモン薬、高血圧薬など)

⑨ 脳卒中後のまひ肢


等となります。

健康な方であれば、1日にいくら水を飲んでも(2Lでも3Lでも4Lでも)、腎臓と心臓が適当に調節して、尿として排泄するため、むくみは起こりません。
しかし、高齢などで心臓が弱っている方は、健康茶や野菜ジュースを毎日2L飲むのは、むくみの原因を作ってしまうケースがあります。

口や頬の症状

口や頬の症状

頬や口中の激しい痛み

突発的な電撃痛が、数秒から数分間にわたって持続する場合、三叉神経痛の可能性があります。痛みは顔面を触れると誘発され、痛みにより歯磨きや食事ができなくなります。
痛みの場所は、片側で、頬、口、口の中、顎のあたりです。

三叉神経痛とは、顔や口に中など三叉神経により支配される部位に発生する痛みのことをいいます。原因として多いものは、三叉神経が脳幹部の近くで動脈などの血管により圧迫されて発生するものです。
MRI検査により、三叉神経を圧迫する血管が認められます。

治療法としては、まずテグレトールという薬を内服し、効果をみます。
テグレトールが無効である方、副作用のために服用できない方で、痛みの為に日常生活に支障がある方には手術が勧められます。

手術の方法は、耳の後ろに約5㎝程度の皮膚切開をし、500円程度の開頭を行い、顕微鏡下に、圧迫している血管を神経から離す操作を行います。
手術による症状の改善率は9割以上です。入院期間は概ね2週間です。

心臓の症状

心臓の症状

心臓機能を高める

「心臓を強くするにはどうしたらいいですか?」という質問をいただくことがあります。
もともと心臓は、自らの都合で拍出量を決めているのではありません。
諸臓器からの血液要求量(=酸素要求量)に応えて、その合計量を拍出するように調節されているのです。

心臓の強さとは、諸臓器の要求にどこまで応じられるか、血液量を1分間に何リットルまで送り出せるかという予備能力の高さです。
身体活動を高めていくと、それにつれて心臓も強くなっていきます。
ただ、プロスポーツの選手でもない限り、強化するということよりは、
「心臓を弱くする要因を減らす」ことを心掛ける方が重要です。
 

① 運動不足だと予備能力が低下していきます。

② 高血圧になると持続的に過剰な圧力負荷がかかってきます。

③ 動脈硬化が進むと冠動脈に狭窄が起こってきます。

④ たばこによって肺を傷めても心臓に負担がかかるようになります。


これらをできるだけ避けるように気を付けていくことが大切です。

消化器の症状

消化器の症状

ピロリ菌にご用心

ピロリ菌にご用心

ヘリコバクター・ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌です。
胃の粘膜に活動性の炎症→慢性胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃がんなどの原因になると考えられています。30歳未満の若年者の感染率は10%くらいと低率ですが、中高年の方では70%以上と高率です。

感染の有無を調べる方法は、大きく分けて内視鏡を使う方法と使わない方法があります。

近年の研究により、ピロリ菌を除菌する(死滅させる)ことで、胃十二指腸潰瘍の再発を予防したり、胃がんの発症を抑制する効果が明らかになってきました。
もし、ピロリ菌が発見されたら・・・次に行うのは「ピロリ除菌専用の内服薬」です。

こんな人は要注意!!

・ 年齢が40歳以上である

・ 胃の不快感をよく感じる

・ 慢性胃炎や胃十二指腸潰瘍を指摘されたことがある

・ 家族にピロリ菌の感染者がいる

経鼻内視鏡検査

経鼻内視鏡検査

これまで、食道・胃・十二指腸などの上部消化管に対する内視鏡検査は、口から挿入する内視鏡(以下、経口内視鏡)が一般的でした。約10mmの太さの内視鏡を挿入する際に多少なりとも舌や喉を刺激し、多くの方は「オエッ」となりそうな咽頭反射を起こします。このため、内視鏡はつらいと感じている人が多いのではないでしょうか。

鼻から挿入する内視鏡(以下、経鼻内視鏡)は舌や喉を刺激せず、咽頭反射を和らげることが可能となり、「オエッ」となりません。経鼻用に細くする試みが行われ、現在では約5mmの細さとなり急速に普及してきました。90%以上の方が次回も経鼻内視鏡を希望されるというデータが散見されます。

検査の方法ですが、まず鼻腔内に麻酔剤を塗布し、あとは通常の経口内視鏡と同様に消化管まで内視鏡を到達させるだけです。両側の鼻腔がともに狭い場合には、経口に変更することもあります。

細くなった分、経口に比べて操作性、画質は多少劣り、特別な処置や治療を行うことはできません。

ピロリ菌
胃がんリスク

逆流性食道炎

逆流性食道炎

「胸やけ」を感じたことはありませんか?   胃酸が食道へ逆流して、食道の粘膜に炎症をおこすと胸やけを感じます。また、のどの違和感や喘息様の咳症状がでることもあります。

食道への逆流の原因はいくつかありますが、年齢とともに胃やその周辺の筋肉の機能が低下し食道のしまりが悪くなってしまうこと、暴飲暴食や過度の肥満で腹圧が上昇してしまうことなどがあげられます。

診断は内視鏡検査により行われ、逆流に伴う食道のただれを確認し重症度の判定を行います。ただし症状はあるものの、この食道のただれが認められない場合もあります。

治療方法は、まず逆流の原因に対する対処療法として生活習慣の改善を行います。具体的には、食後すぐ横にならない、過食をさける、ダイエットするなどです。症状の改善が乏しい場合は、胃酸の分泌を抑える薬物療法として最も効果が強いプロトンポンプ阻害薬の投与が選択されます。

 正常な食道粘膜

 正常な食道粘膜

くし状のただれを認める逆流性食道炎

くし状のただれを認める逆流性食道炎

生活習慣の改善

生活習慣の改善

肥満・メタボ

肥満・メタボ

メタボリックシンドローム

ライフスタイル、特に食事習慣の欧米化が言われて久しくあります。
肥満に伴う疾病で、お腹に脂肪がつき過ぎて血管の病気になってしまう場合があります。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という表現をお聞きになった方も多いのではないでしょうか。

腹部CTスキャンで内臓脂肪の断面積を計算し、100?以上の断面積を持つ人の中には、この症候群に該当する人がいます。
日本人では、男性で臍周囲径が85㎝以上、女性で90㎝以上の場合、大体この大きさに相当すると考えられています。
メタボリックシンドロームの詳細は、下記をご参照ください。

メタボリックシンドロームの概略は、腹囲増大に加えて高血圧、高血糖、高脂血症のいずれか2つが加わったものです。
内臓に脂肪が蓄積すると脂肪細胞の出すアディポネクチンという物質が減ります。アディポネクチンとは、脂肪細胞に特異的な分泌蛋白であり、抗炎症作用、抗動脈硬化作用、抗糖尿病作用を持つと考えられています。
そのため、メタボリックシンドロームの人は、全身の血管が傷つき易くなり、脳卒中や心筋梗塞になりやすくなります。
俗にいう血管年齢が高いということは、加齢による動脈硬化が、内臓脂肪の蓄積によって実年齢以上に加速していることになります。メタボリックシンドロームと判断される場合、血液検査のほかに、精密検査として脳波計や頸動脈エコー検査およびMRI/MRAを行ない、動脈硬化の程度や合併症の予後を判定するのが良いでしょう。

肥満度を表すもうひとつの指標として、BMI(ボディ・マス・インデックス)と言うものがあることをご存知でしょうか。
BMIは、体重を身長の2乗で除したもの「BMI=体重(kg)/身長×身長(m)」を基準とし、22を標準体重と考える指標です。この値が、19未満が『やせ』、25以上が『肥満』とされています。
健康人4万人を対象とした大規模調査では、意外なことに男性でBMIが24.45、女性で22.28の人、言い換えれば少し小太りの人も長生きであるという結果が出ました。判断の材料とする体重は、何歳の時のものにしたらよいかも論じられなければなりませんが、長生きをした人が標準体重とは限らないという逆説でもあります。
人生においては、生活習慣病以外の疾病で健康を損なうこともあり、体重にも少しの余裕が必要とされるのかもしれません。
その意味で、健康で小太りは長寿社会を生き抜くための最上策ということなのでしょうか。しかし、余病があればその限りではありませんし、標準体重を参考にするのが次善の策であろうかと思います。

メタボリックシンドロームは、血管の老化を速めてしまいます。「及ばざるは過ぎたるに勝れり」と言われますが、身に覚えのある場合は食べ過ぎや運動不足の解消に十分なご配慮をいただくことが肝要ではないかと思います。

<メタボリックシンドロームの診断基準>
内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積
ウエスト周囲径      男性≧85cm
女性≧90cm
(内臓脂肪面積男女とも≧100cmに相当)

上記に加え、以下のうち2項目以上が該当する場合

1)トリグリセリド値≧150mg/dL
かつ/または
HDLコレステロール値<40mg/dL

2)収縮期血圧≧130mmHg
かつ/または
拡張期血圧≧85mmHg

3)空腹時血糖≧110mg/dL

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